血糖は脳や筋肉を動かすために必要なエネルギー源として重要な役割を持っています。

血糖と血糖値(ヘモグロビンA1c(HbA1c))

血糖は血液中に溶け込んだ糖をさします。血糖は脳や筋肉を動かすために必要なエネルギー源として重要な役割を持っています。しかし、血糖は高すぎても低すぎても人間の身体に異常を引き起こします。高ければ、高血糖状態となり糖尿病などの病気を引き起こし、低ければ、低血糖状態となり、命にかかわる状態となります。脳にとって糖は唯一エネルギー源として活用できる栄養素です。その栄養素が断たれるということは脳の働きの低下を招き死に直結してしまうのです。

血糖ってどんな働きをしているの?

身体に血糖の供給します

①糖は腸管から吸収します。
②食事による腸管から糖の吸収が望めないときは、肝臓に貯蔵されているグリコーゲンが分解され血糖を供給します。脳は全身の中で重量比ではたった2%にすぎませが、全消費エネルギーの実に18%が脳で消費されるのです。成人男性では。、脳だけで480kcalも消費するのです

血糖値の調整をします

①血糖調節に関与する主たる器官は肝臓です。また、筋肉、脂肪組織、腎臓(じんぞう)なども大きな役割を果たしています。
②これらの臓器はホルモンや神経の支配を受けつつ様々な条件の元、血糖の調節を行っています
③血糖調節に関与するホルモンは、インスリン、グルカゴン、成長ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質ホルモン、カテコールアミンがあげられますが、血糖値を下げるホルモンはインスリンのみです。他はすべて血糖上昇に働きます。
④以上のことから、生体は高血糖よりも低血糖に対する防御が強いということを差し示しています。これは、低血糖が人間にとって致命的なダメージを与えるためです。そのため、インスリンの不足は簡単に高血糖を招くことになります。

そのほかの血糖値の関与はこちら

①神経系の関与は古くから知られています。しかし、血糖調節機能全体にどの程度の影響を与えているかは明らかになっていません。現在分かっていることは、迷走神経刺激によって膵臓からのインスリン分泌が増加し、交感神経の興奮によって逆にインスリン分泌が抑制されることが確認されています。したがって、神経系による調節とホルモンによる液性調節とは互いに関連しあっているものと推測されます。
②そのほかに遊離脂肪酸も血糖調節に関与しています。遊離脂肪酸濃度の上昇によってインスリンの作用は拮抗され、濃度の低下によって協調されます。この関係はブドウ糖・脂肪酸サイクルとよばれています。
③さらに運動や食事内容も血糖調節に関与しますが、これらもインスリン、グルカゴンなどのホルモンとの関連が深いことがわかっています。

血糖値(BG、ヘモグロビンA1c)って何?

 血糖値は、血液中に含まれる糖の量を言います。身体の中で、血糖は絶妙なバランスを保ちながら、1デシリットル(100cc)中70~90ミリグラムに維持されています。生体内のホルモンは血糖値を下げるホルモンは1種類(インスリン)であるのに対し、血糖値を上げるホルモンは4種類(グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモン)が関与しています。これは、血糖値を維持することが生命を維持するうえで重要であることを意味しています。そのため、インスリンの一種類のホルモンが欠乏するだけで血糖値は上昇傾向に容易に向かってしまうのです。

血糖値(BG、ヘモグロビンA1c)の検査

血糖値:BG

 一般的な血糖値の指標として使われる血糖値検査です。前日の夕食後から絶食し、朝一番に空腹の状態で採取して測定します
。詳しくは、「血糖値(BG)」をご参照ください。

血糖値:ヘモグロビンA1c(HbA1c)

 ヘモグロビンと糖がくっついたものをヘモグロビンA1cといいます。概ね過去1~2ヶ月の血糖値の平均を反映しています。
詳しくは、「血糖値(HbA1c(ヘモグロビンA1c))」を参照お願いたします。

 正常値は上記で上げた通り、4.3~5.8%となります。右記の表は血糖値との対象表です。

6%未満は、糖尿病における目標値となります。
7%未満は、糖尿病における合併症予防の目標値です。
8%未満は、糖尿病に対する治療強化が困難な場合の目標値です。
それ以上の数値は危険信号となります。

HbA1c(%) 平均血糖値(mg/dl)
60
90
120
150
180
210
10 240

血糖値の測定結果 高血糖と低血糖

 血糖値とは、上記で述べた通り血液内のグルコース(ブドウ糖)の濃度です。正常値は、空腹時血糖値はおおよそ80-110mg/dl程度で、食後は若干高い値を示します。ヒトの血糖値は、血糖値を下げるインスリン、血糖値をあげるグルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンといったホルモンにより、非常に狭い範囲の正常値に保たれています。これは、体内におけるグルコースはエネルギー源として重要である反面、高濃度のグルコースは糖化反応を引き起こし微小血管に障害を与え生体に有害であるため、血糖値は常に一定範囲に保たれています。

血糖値が高いとどうなる?(高血糖)

 血糖値の高い状態(高血糖)となっても、特に大きな体調が変化は起きません。あるいは、高血糖の症状があっても、軽度であるか、非常にゆっくりと現れるため、気づきません。高血糖のサインとしは以下の症状があります。これらの症状が現れた際は注意しましょう。

①ふだんより空腹感やのどの渇きを覚える
②夜間は特に尿の回数が増えた
③皮膚が乾燥する、またはかゆい
④疲労感があり、眠い
⑤目がかすむ
⑥かぜなどの感染症にかかりやすい
⑦切り傷やただれなどの治りが遅い


血糖値が下がるとどうなる?(低血糖)

血糖値が下がると(低血糖)、高血糖とは違い、顕著な症状が現れます。
・血糖値が70mg/dl以下になると異常な空腹感が現れます
・動悸・震えなどの症状が出てきます。

※これらの症状は、糖尿病で普段高血糖状態にありますと、高い血糖値でも症状が現れてきます。また血糖値の下がるスピードが速い時も、比較的高い血糖値で症状が現れ始めることがあります。

さらに血糖値が下がると
・低血糖を放っておき血糖値が50mg/dl以下になると中枢神経の働きが低下します。
・血糖値が30mg/dl以下になると意識レベルが低下し、昏睡状態から死に至ることもあります。

低血糖を引き起こす原因
・最も多いのが糖尿病の薬物療法に伴うもので、インスリンの過剰な状態になった時に低血糖になります。
・糖尿病でインスリン治療や経口血糖降下剤投与を受けている人が、食事を抜いたり激しい運動をしたりすると、薬が効きすぎて血糖が下がり過ぎます。
また薬の量を間違えてたくさん飲んだり、インスリンを多く打ち過ぎたりした時も、低血糖になります。


血糖値の異常と病気

検査を受けて糖尿病と診断が確定したら、医師の指導のもと食事療法と運動療法を開始します。食事と運動で血糖が下がらない場合は、インスリン注射が行なわれます。なお、食事療法や運動療法の補助薬品として世界37カ国で販売・使用されている仏製薬大手サノフィ・アベンティスの肥満治療薬「アコンプリア(一般名:リモナバン)」は、日本国内においては第3相臨床試験中であり、現在のところ新薬申請の予定は立っていません。糖尿病は慢性の病気ですので、根気よく治療を続けることが大切です。食事療法、運動療法、インスリン療法で血糖コントロールをよくして合併症さえ防げれば、健康な人と同じように仕事もスポーツもできますので頑張りましょう。

血糖値が異常な場合に疑われる病気血糖値が高値…糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症、膵炎、肝炎、肝硬変など
血糖値が低値…インスリンノーマ(膵島線種)、糖原病、肝臓がん、ガラクトース血症など