妊婦さんが食べる食事には、摂ったほうがよいもの、摂らないほうがよいものがあります。

妊婦の食事の貧血予防のポイント

妊婦さんそして、妊娠になる方の食事についてまとめました。中には妊娠中あまり食べるべきではない食べ物や、食べ方についてもまとめていますので、ご参考になさってください。妊婦の方が食べる食事は、これから生まれてくる赤ちゃんの食事です。元気な赤ちゃんを育てるうえでも、食事は気をつけていきたいですね。

妊娠全期の食事ポイントは3つ

1日3食バランス良く

 体重増加やスタイルを気にするあまり、食事を抜くなんて言語道断。痩せすぎも妊娠中はタブーです。
 1日3食食べて赤ちゃんに栄養を与えましょう。

味付けは薄味を心がける

 塩分の摂りすぎはむくみや妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の原因になります。1日10g以下に抑えましょう。
 加工食品やスナック菓子などには多くの塩分が含まれているので注意。

赤ちゃんの発育に必要なカルシウムや鉄や葉酸を多めに

 赤ちゃんの骨や歯を作るカルシウム、血液を作る鉄や葉酸を意識して多めに摂るようにしましょう。
 なるべくいろいろな食品を組み合わせて、主食・主菜・副菜を揃えるように心がけます。

妊娠期別の食事ポイントも3つ

妊娠前期(1~4ヶ月)における食事ポイント

妊娠食は、つわりが酷い時は無理に食べなくてもOK。あまり気にせずに 食べられる時に食べられる物を少しずつ食べるようにしましょう。(出来れば消化の良い物を)生クリームなどの油脂類や砂糖や塩などの多いお菓子を控えましょう。つわりを悪化させます。子宮がおおきくなるにつれ 便秘気味になるので、海藻や根菜類などの食物繊維を多めにとりましょう。空腹も気持ち悪さの原因になるので、あまり空腹にせず小さいおにぎりや飴などを冷蔵庫に常備しておきましょう。匂いが気になる時は、冷たくすると比較的食べやすくなります。

妊娠中期(5~7ヶ月)における食事ポイント

妊娠中期は、つわりがおさまり食欲旺盛になるので体重増加に気をつけます。高たんぱく・低カロリーの食事を摂りましょう。胎児の著しい成長と共に鉄もより必要となります。貧血予防に鉄を多めに摂りたいものです。鉄分の多い食品を取り入れた献立を立てましょう。塩分の摂りすぎは難産などを引き起こす妊娠高血圧症候群の原因になります。ダシ汁やかんきつ類や香味野菜を利用して薄味を心がけましょう。果糖が豊富な果物も食べ過ぎないように注意します。

妊娠後期(8~10ヶ月)における食事ポイント

妊娠後期は、赤ちゃんが大きくなるにつれ、胃が押し上げられて胃もたれや胸焼けなどの症状が出ることがありますが少しずつ小分けで食べると良いです。1日で食べる量を減らすのではなく、3回で食べられなかったら4回に分けて回数を増やして食べます。陣痛が収まったら長期戦です。陣痛の軽いうちに消化の良いおにぎりやサンドイッチや雑炊などのエネルギーになる物を食べましょう。最も妊娠高血圧症候群になりやすい時期なので、塩分や水分のとりすぎには充分注意しましょう。

妊婦の方が食べたい食べ物、避けたほうがよい食べ物

 食事のポイントはやはり、必要な栄養素を過不足なく摂取する事です。栄養素の偏りは、たとえ体重が基準値以内であっても、難産や合併症を引き起こす原因になりますので注意が必要です。 また食事は、今までと大きく違う食事をとるのではなく、普通の食事を意識しその中で過不足が出ないよう気をつけるようにしましょう。普通の食事とは、一日三食できるだけ決まった時間に平均的な食事をさします。(一日二食以下だったり時間がまちまちだったりする方は、まず規則正しく食事をすることが大切です。)

妊婦の方が食べた方がよい食材について

 妊娠期に必要な栄養素についてです。何か種類を限定して補給したほうがよい栄養成分はありません。鉄や銅、ビタミンB12等あげることはできますが、必要なことはバランスよく、栄養の偏りが無いように食べるということです。 妊婦さんだけでの話ではなく、現代人の食時は、鉄分・カルシウム・食物繊維等の栄養が不足しがちです。これらを解決するためには、一日30品目の食材を食べることを心がけたり、和・洋・中とメニューに変化を与えてみたり、主菜をいつもと違う材料にしてみたりと、様々な工夫が必要です。また、さらに重要な事が一つあります。それは食べすぎてもいけないという事です。今現在の適量を考え食事をとることです。摂りすぎて体重を増やしすぎると、合併症や巨大児等のトラブルの原因となります。

カルシウム

骨や歯を作る栄養素。筋肉や神経機能の調整・イライラ解消に役立つ。血圧を下げる作用もあるため、母体の妊娠高血圧症候群の予防にも役立つ。ビタミンDやたんぱく質と一緒に摂取すると吸収率が高まる。

(主な食品:ちりめんじゃこ・桜海老・ひじき・牛乳・チーズなど)
 

血液を作る栄養素。妊娠中の鉄欠乏症性貧血を防ぐ。ビタミンCやたんぱく質と一緒に摂取すると吸収率が高まる。

(主な食品: レバー・かつお・小松菜・ひじきなど)
 

葉酸 ビタミンB12

悪性貧血予防に必要な栄養素。この2つをセットで摂ると効果的。葉酸は胎児の神経系の先天性トラブルのリスクが軽減されると言われている。つわりの時期の食欲不振を緩和する効果もある。

(主な食品 葉酸 : 青菜・枝豆など  ビタミンB12 : あさり・レバーなど)
 

マグネシウム

炭水化物や脂肪をエネルギーに変えるのに必要なミネラル。カルシウムと結びついて一緒に働く栄養素。胎児の骨の成長を促し、ストレスを緩和する。

(主な食品 : ナッツ類・大豆・海藻など)
 

亜鉛

胎児の成長に重要なミネラル。体内の活動代謝にかかわる酵素を活性化させ、たんぱく質の合成に不可欠。亜鉛が不足するとつわりが重くなるケースも。

(主な食品 : 牡蠣・ごま・大豆・玄米・ココアなど)
 

カリウム

むくみや妊娠高血圧症候群の予防に役立つミネラル。高血圧の原因になる塩分を体外に排出するのを助け、血圧を下げる効果がある。

(主な食品 : バナナ・アボカド・じゃがいも・りんご・緑黄色野菜など)
 

ビタミンA

皮膚や粘膜を守る働きがある。過剰摂取は胎児に悪影響を与える。

(主な食品: レバー・うなぎ・青菜・人参など)
 

ビタミンD

カルシウムの吸収を助ける栄養素。日光に当たると更に良い。過剰摂取には注意が必要。

(主な食品 : 鮭・干し椎茸・うなぎなど)
 

ビタミンB1 ビタミンB2

B1は疲労回復・イライラ解消に。B2は胎児の発育を促す効果がある。

(主な食品  B1:豚肉・大豆など B2:納豆・乳製品など)
 

ビタミンC

体の免疫力を高め、風邪などを予防する。鉄吸収にも効果がある。

(主な食品 : ブロッコリー・いちご・レモン・キウイ)
 

ビタミンE

抗酸化作用や血液サラサラにして結構促進作用がある。むくみや冷え性の緩和に効果的。高脂血症や血栓を防いで肌荒れ改善にも役立つ。脂溶性なので油と一緒に摂ると吸収率アップ。

(主な食品 : ナッツ類・大豆・かぼちゃ・オリーブオイルなど)
 

妊婦の方が食べない方がよい食材について

 妊娠中に食べてはならないものは、ほとんどありません。しかし、大型の魚(マグロやサワラ類)は体内に有機水銀を濃縮して持っている可能性がありますので、全くではありませんが、たくさんの量をそればかり食べることはやめましょう。カフェインは、一日2杯ぐらいでしたら影響はほぼありません。辛いもの塩分は多少は控える必要はありますが、その他の香辛料などを利用できますし、食欲増進の上でも有用です。ちなみに、うなぎはだめといわれますが、それはビタミンAがたくさん含まれているからです。ただし、うなぎは毎日食べるものではありませんので、たまに食べる分には問題にはなりません。以下に注意した方がよい食品のリストをまとめてみました。

まぐろ・キンメダイなど

メチル水銀を含む魚類の過剰摂取は控えましょう。胎児の中枢神経に影響を与える心配があります。妊娠中はまぐり類やキンメダイなどを毎日食べるのは避けた方がいいです。良質なたんぱく質も多く含むため、週に1~2回なら問題ありません。なお、ツナ缶やきはだまぐろやめじまぐろは摂取制限をしなくても大丈夫です。

ひじき等の海藻類

イギリスでヒ素含有の報告があったため、極端に多く摂るのは避けたい食品です。
ですが、ひじきは鉄分・カルシウムを多く含む食品ですので、副菜として週1~2回食べる程度は問題ないでしょう。体重50㌔の人が1日4.7g以上を連続して食べなければ問題ない とされています。

レバー・うなぎなど

動物性のビタミンA(レチノール)は妊娠初期に過剰摂取すると胎児に影響する恐れがあります。鉄分が豊富だからと過剰に摂取するのは危険です。一方、緑黄色野菜に含まれ 体内でビタミンAに変わるカロテンは、大量に食べても大丈夫とされていますが、適度に食べる事をおすすめします。

ソフトチーズ

滅菌されていない生乳やソフトチーズはリステリアという最近が心配されています。リステリアは冷蔵庫保存や過熱にも耐性があり、加工後に汚染される事も。出来れば、ソフトタイプのカマンベールやブリーチーズ・フェターチーズなどは避けた方が良いでしょう。ハードタイプのチーズや低温殺菌済みのプロセスチーズやパルメザン・モッツァレラ・カッテージチーズは問題ありません。

加工食品・スナック菓子・塩分・脂肪分・コーヒー

ハム・ソーセージなどの加工食品は塩分が高めなので、料理する時は野菜と組み合わせて塩分や油脂などの調味料を控えめにする工夫をしましょう。高カロリーのスナック菓子やファーストフードや糖分と乳脂肪がたっぷりの洋菓子も、食べ過ぎないよう注意が必要です。食べる時は量を決めて食べましょう。母体が摂取したカフェインは胎児にも届きます。カフェインは鉄を体外に排出する働きがあるため、貧血気味の人は飲み過ぎないように。コーヒーが好きな人も1日1~2杯程度のとどめましょう。

 

体重のコントロールは適度な食事のコントロールで

 妊娠中食べすぎて体重が一気に増えてしまった場合、定期検診時食事制限するようにいわれることがあります。しかし、通常の状態(妊娠していない状態)とは違いますので、ダイエットのような過度の制限は母体の健康、赤ちゃんの健康も損なうことになりますので、絶対にしないようにしましょう。ここで言う食事制限とは、「食べない」ではなく「食べる」量をコントロールすることです。食べないと自身を抑制すると、意識が食べ物のことに集中してしまい、ストレスの原因となります。食事制限は必要な栄養成分をしっかりとり、食べる量をコントロールすることです。