NASH(非アルコール性脂肪肝炎)は静かに進行
アルコールの関与しないNASHは静かに忍び寄ります
NASH(非アルコール性脂肪肝炎)は病名の通り、アルコールの関与がない脂肪肝炎ですので、自分はアルコールを飲んでいない、あるいはたしなむ程度にしか飲んでいないから「大丈夫」という意識を持っているため、肝臓に対して意識はあまり行きません。しかし、NASHの原因は肥満体質あるいは体脂肪が多いという共通点があり、食生活や生活習慣が乱れやすい傾向にあります。 体脂肪が多い状態はNASHにとって大きな脅威です。脂肪細胞からレプチンが分泌されそれが原因でNASHが引き起こされます。 ウイルス性肝炎と聞くと「大変な病気」、脂肪肝ときくと「軽い病気」と思われるのではないでしょうか。しかし、脂肪肝のうち10%が脂肪肝炎に発展し高率で肝硬変、そして肝がんへと移行するといわれています。また、様々な疾患のように年齢的なリスク変化はあまり認められず、若い方も注意が必要であるといえます。
NASH(非アルコール性脂肪肝炎)は、以下のようなリスクもあります
①肥満、糖尿病は狭心症や心筋梗塞の原因として知られていますが、NASHから肝硬変、肝癌になり死亡する割合も近い将来心臓病と同率になるのではないかといわれています。
②NASHは日本人というだけで、他人種に比べになりやすいといわれています。特に肥満の日本人は注意が必要です。
③日本人の全年齢で肥満の人が増えています。肝臓に起こった強い炎症による線維化が、おおよそ10~15年で肝硬変になるといわれています。アメリカでは、今後
NASH は重症肝疾患のなかで、最もリスクの高い疾患になるだろうと推定されています。
アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝の違い
アルコール性脂肪肝は、アルコールによって肝臓の働きが低下します。それにより、肝臓に運び込まれてきた脂肪酸を燃焼させる働きが低下するため、その脂肪酸が中性脂肪となり、脂肪肝となります。 非アルコール性脂肪肝は、食事からとるエネルギーが多く、肝臓に運ばれる脂肪酸の量が多いことが、発症の原因となります。
アルコール性脂肪性肝炎とは
単に肝臓に脂肪がたまっているだけでなく、炎症を伴っている点が脂肪肝と違います。アルコール性脂肪肝との違いは、肝臓内にアセトアルデヒドという物質が作られ、これが有害な物質で、肝細胞を傷害し、炎症が起きている点です。そのため、炎症は肝細胞の線維化を引き起こす原因となるため、放置すると短期間で肝硬変にまで進行します。
お酒を飲まないのにも肝臓が悪くなるNASH
NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の原因は、過食と運動不足が大きな原因だと言われています。通常、体内に取り入れられた脂肪は、肝臓の中で身体が利用できるエネルギー源として変化し、全身に送り出されます。しかし、カロリーオーバーの食生活で内臓脂肪が溜まると、そこから常に、大量の脂肪が肝臓へと供給されることなってしまいます。すると、余った脂肪が肝細胞の中に溜まってしまいます。これが、「脂肪肝」です。肝臓は、たまり続ける脂肪を燃やそうとするのですが、その過程で、不完全燃焼から有害な活性酸素が発生し、肝臓の細胞を攻撃し、炎症を引き起こしてしまうのです。そういう慢性肝炎の状態が、『NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)』といわれます。 ※NAFLD=nonalcoholic fatty liver diseaseの略。「非アルコール性」とは、飲酒習慣がないか、1日1合(ビール大瓶1本)以下しか飲まない人を指す。 こうした慢性肝炎が何年も続くと、肝細胞が風船みたいに膨らんだり、線維化が進むNASHに移行し、肝硬変に行き着きます。ただ、やせているから安心ではないのです。ダイエットで細くなった女性でも、栄養バランスを崩して脂肪肝になっていると、脂肪肝→非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)→非アルコール性脂肪肝炎(NASH)→原発性肝臓癌(HCC)発生も報告されています。