NASH(非アルコール性脂肪肝炎)のリスクは、食事、運動、ストレス

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)のリスク因子

 NASHは、原因にアルコールが含まれないアルコール性肝障害に類似した病態を示す肝疾患を言います。いまだ、発生に至る機序はわかっていませんが、基礎疾患として脂肪肝に加え、肝臓に何らかのストレスがかかることによって発症するのではないかといわれています。ストレス要因は活性酸素による酸化ストレス、過酸化脂質、鉄、インスリン抵抗性、サイトカインの放出などがあります。また、研究結果により抜歯や歯周炎などのリスクを抱えている方は、発症リスクが高いとも言われています。しかし、口腔内のリスクだけでは発症するリスクは限定されており、そのリスクファクターに生活習慣の運動不足や過食、ストレスなどのリスクファクターが加わることにより発症するといわれています。

 健康な肝臓では、腸内から侵入してくるごくわずかの細菌毒素に関しては、無反応で炎症を起こすことはない。しかし、肥満状態では脂肪組織からホルモンの1種であるレプチンが多量に分泌され、転写因子の1種である「STAT3」の活性化を介して、肝臓のマクロファージである「クッパー細胞」上に細菌内毒素の共受容体「CD14」の発現を亢進させる。
 この結果、肥満状態では通常は炎症を起こさないごくわずかな細菌毒素に対してもCD14により過剰反応をきたし、Kupffer細胞は活性化して「炎症性サイトカイン」を産生し肝炎を発症することが確認されたというわけだ。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)のリスクは、食事、運動、ストレス

過食がNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の発症リスクを高める

 NASHは肝臓版の生活習慣病とも言われています。NASHのリスクは肥満により脂肪組織から大量に分泌される、レプチンが関与しています。レプチンとは、脂肪細胞が分泌するペプチドホルモンで、視床下部に作用し食欲を抑制します。また、細胞レベルでの糖の取り込みやインスリン感受性を高める作用があります。 肥満のメカニズムでもありますが、このレプチンの多量分泌がさらなる肥満を引き起こす要因にもなります。レプチンには代謝向上と食欲抑制作用がありますが、視床下部にある受容体には数に限りがあり、あまりにも多量に送られると、うけきれずに放棄するようになります。簡単に言いますといかのような形です。

  脂肪細胞 レプチン  視床下部(レプチンの受容体 
レプチンの分泌量普通     
レプチンの分泌量大量  



 


この状況がさらなる肥満を呼び、レプチンの分泌を呼び、最終的ん様々な生活習慣病や、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)等の肝障害の引き金になります。このレプチンの分泌は食事の際も消化管から分泌されるため、食事の量をコントロールしレプチンの分泌量を減らしていくことが一番の治療であり予防にもなります。

運動不足がNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の発症リスクを高める

 過食とともに、NASHを引き起こす原因は、運動不足です。NASHは、肥満による脂肪細胞の増加によるものといわれていますので、代謝の低下の原因となる運動不足はリスクを高めます。また、運動不足はレプチンの受容体の機能を低下させ、取り込み量も低下しますので、結果としてレプチンの分泌量の増加を引き起こしさらにリスクを高めることになります。運動不足自体が内臓脂肪を増加させ、メタボリックシンドロームを引き起こし、結果としてNASHのリスクを高めることになります。

過度なストレスがNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の発症リスク

 現代社会において、ストレスの過剰は様々な場面において問題視されています。NASHもその一つといわれています。NASHの原因の一つにレプチンが関わっていることは前述したとおりですが、そのレプチンの増加により炎症性サイトカインが産生され、肝炎を引き起こします。また、ストレスは体内ホルモンのアンバランスを引き起こしますので、レプチンもその一つに数えられますので、影響として小さくはありません。また、そのホルモンバランスの低下により、代謝も低下しますので、結果として脂肪細胞が上昇しレプチンの増加を招くことになります。