非ケトン性高浸透圧性昏睡とは、糖尿病においてみられる神経症状のひとつです。

非ケトン性高浸透圧性昏睡の病態・症状・治療

非ケトン性高浸透圧性昏睡とは、糖尿病においてみられる神経症状のひとつです。2型糖尿病を基礎疾患に有する高齢者が、感染症などを契機に急性発症することが多いとされています。近年では高浸透高血糖症候群と呼ばれることが多い。

非ケトン性高浸透圧性昏睡の症状・原因

基本的な病態としては、高浸透圧血症によって脳神経細胞が脱水をきたし、障害されて昏睡に陥るものとされています。

高浸透圧血症の要因

①血液中のブドウ糖濃度の急激な上昇
②これに伴って腎臓から過剰にグルコースが排泄(尿糖)されて浸透圧利尿が生じる
 以上2点が重要とされていますが、発症の契機としての感染に伴う不感蒸泄の亢進、また中枢神経障害に伴う口渇中枢の機能低下もさらにこれを促進するため、血漿浸透圧は350mOsm/L以上まで上昇する。また浸透圧利尿はさらに高ナトリウム血症をもたらし、中枢神経障害を助長する悪循環となります。

 類似した症候を示すものとして糖尿病性ケトアシドーシスがありますがが、非ケトン性高浸透圧性昏睡の場合、内因性のインスリンの分泌は保たれているためにインスリン依存状態には陥らず、ケトン体が生成されずアシドーシスも軽度であるため、病態は若干異なります。

非ケトン性高浸透圧性昏睡の治療

血糖値を下げ、浸透圧を正常化するため輸液(点滴)を行います。初期は0.45%低張食塩水(あるいは生理食塩水と5%キシリトールを50%ずつ混和)とし、血清ナトリウム濃度が130mEq/Lまで補正されたところで生理食塩水に切り替える。 なお、この治療法はグルコース・インスリン療法(G-I療法)そのものであるため、低カリウム血症が出現する危険がある。この場合、塩化カリウムを1時間に20mEq/Lの速度で補給する。
また、インスリンを投与し糖尿病性ケトアシドーシスと同様に行なう。