脳出血とは、脳内の血管が高血圧等の影響により破れ、脳内に出血した状態をいいます。

脳出血(脳内出血)の前兆とその症状

 脳出血(脳内出血)とは脳内の血管が何らかの原因で破れ、脳のなか(大脳、小脳および脳幹(のうかん)の脳実質内)に出血した状態をいいます。そのために意識障害、運動麻痺、感覚障害などの症状が現れます。血腫が大きくなると脳浮腫(脳がむくん状態)によって頭蓋内圧が高くなって脳ヘルニアを起こし、重い場合は脳幹部が圧迫されて死に至ります。  近年、脳出血の死亡数は減ってきましたが、その最大の理由は高血圧の内科的治療が広く行きわたり、血圧のコントロールが十分に行われるようになったためと考えられます。また最近、脳出血は軽症化していますが、運動障害や認知症(にんちしょう)などの後遺症で悩む患者さんが多いのも事実です。

脳出血(脳内出血)の原因

脳出血(脳内出血)もっとも多いのは高血圧

 長年の高血圧症によって脳の深い部分へ栄養を送る小動脈の動脈硬化が進みます。この状態を放置すると、血管がしなやかさを欠き血圧の変化に対応できなくなり、結果一時的に血圧が上がった際に切れて出血すると考えられています。これを高血圧性と呼び、以前は日本人に大変多く、命に関わる事が多い病気の代表でした。
 その症状の多くは、運動麻痺や感覚の異常、バランスの異常などを急激に起こします。これらの症状は、脳出血によっての破壊、脳出血の突然の発生によって一時的にダメージ、これらの脳の働きの両方がおかされます。
 このタイプは脳内の深い部分に出血を起こす特徴があります。出血量が多いと、意識の悪化や、最悪のケースでは生命の危険を招く状態へ進む事もあります。

脳血管の疾患が原因の場合もあります。

 高血圧症も脳血管の疾患原因ですが、ここでは、先天的に弱い部分を持つ脳血管の病気を区別しています。脳動静脈奇形や海綿状血管腫、硬膜動静脈瘻などがこれにあたります。
 大きさや場所はそれぞれ異なりますので、脳の深部では脳内出血、脳の表面ではくも膜下出血にななります。

出血性脳梗塞や高血圧以外が原因の場合もあります。

 脳の広い範囲の栄養栄養を担う血管が詰まるタイプの脳梗塞では、数時間から数日後の間に一度詰まった血管が再び開通して血液が再開されることがあります。ただし、開通するまでの間に脳梗塞が完成してしまった場合は、流れてきた血液を血管が受け止められずに脳出血になる事が知られています。これを出血性脳梗塞と呼び、極めて危険な状態になるケースがあります。

脳出血の前兆

脳出血の前兆・前触れは、ほとんど現れることがなく、突然発症することが多いです。まれに「一過性脳虚血発作(TIA:いっかせい のうきょけつ ほっさ)」と同じ症状が脳出血の前兆・前触れとして現れることがあります。

  • めまいがする
  • 激しい頭痛がする
  • 立ってしっかりと歩くことができない
  • 気分が悪くなる、嘔吐(おうと)する
  • 激しい肩こりを感じる
  • 目がみえにくくなる
などの症状を感じることもあります。

脳出血(脳内出血)の診断

 診断は症状から比較的容易ですが、最終的にはCTが有用です。MRIは急性期には専門家が見ないと脳出血か脳梗塞が 判定しづらいことがあります。脳出血の重症度は意識レベル、CT上の血腫の広がり、血腫の量で判定します。意識レベルは重症例ではどんなに刺激をしても目を開けない状態となり、昏睡状態となります。当然ですが重症になればなるほど結果も悪くなります。家や職場で脳出血で人が倒れたらともかく呼吸の確保が大切です。ネクタイや首の周りをゆるくして、お腹のベルトも緩めます。脳出血では嘔吐することが多いので、嘔吐物が喉に詰まって窒息する場合や、肺の中に入って誤嚥性肺炎をおこします。これを予防するためには身体を横に向けます。そして口の中に詰まっているものを取り除きます。以前は脳卒中の人は動かしてはいけないといわれていましたが、現在はともかくすぐに病院へ運ぶことを考えて下さい。

脳出血(脳内出血)の後遺症と治療について

 大きく分けて2つの治療法があります。薬による治療(内科治療、保存的な治療)と手術による治療(外科治療)で、それぞれに利点・欠点があります。これらを決定する判断要因は、出血の量と症状の強さ、治療中の容態の変化などによって決まります。
 出血量が少なく症状が軽度である方や他の内臓の病気によって容態が不安定な場合などは薬の治療(内科治療)を中心に考えます。しかし、ある程度以上の出血で症状が重く、病状が進んでしまう事が考えられる場合に手術治療(外科治療)選択します。

脳出血(脳内出血)の薬による治療

 脳内出血を起こした直後は、高血圧になっている事が多く、脈拍も含めて不安定です。突然の身体の変化に不安を強く感じもがくケースが多くあります。しかし、出血を増やさない事を考え、血圧や脈拍を安定化させる為に絶対安静がまずは必要です。さらに特に著しく高い血圧である場合は、血圧を下げる薬を用いて、積極的に安定化させる事も行われます。安定した段階で、運動麻痺等の症状に対するリハビリテーションを開始します。その他には脳浮腫や胃潰瘍(脳卒中を起こした際に高率に併せて起こす事が知られています)に対する治療が行われていきます。

脳出血(脳内出血)の手術による治療

 脳内にある血腫の量を減らして、周囲の脳のダメージを減らす事が大きな目的となります。残念ながら、脳出血により失った脳の機能を回復させる手術法は無く、全ての脳出血に手術が行われている訳ではありません。病状(症状)の改善を考え、大きく頭蓋骨を開いて取り除く方法と小さい穴を頭蓋骨に開けて針や内視鏡を入れて少しずつ吸い出す方法が手術として行われます。 後遺症はほとんどのケースであります。治療し安定後リハビリテーションを行うことが重要な機能回復に役立ちます。最初の1年間が重要だといわれていますので、つらくても実施することが大切です。