NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の初期検査として、超音波またはCTで脂肪肝の診断をします。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の検査

 NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の初期検査として、超音波またはCTで脂肪肝の診断をします。画像診断では 2/3 脂肪沈着が無ければわかりませんが、大体の見当はこれでつけます。しかし、NASH は単純性脂肪肝とは違いますので、脂肪肝炎があるかどうかは、組織をとってみないと確定診断を下すことはできません。 組織検査の前に、肥満の人では減量をして、血液の検査に改善が見られるかを確認します。改善が見られれば、ほぼ単純性脂肪肝と言えますので経過観察となります。改善が見られない場合は、NASH の疑いが強く、肝生検をしてNASHかどうかを調べます。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)血液検査による診断

 NASH(非アルコール性脂肪肝炎)であるかを調べる為には、血液検査もあわせて行います。自覚症状が少ないNASH(非アルコール性脂肪肝炎)では、定期健康診断などの血液検査で肝機能の異常を指摘され、より詳しい検査をした事でNASH(非アルコール性脂肪肝炎)である事がわかる事もおおいです。NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の患者さんの血液検査結果は、ALT(GPT)AST(GOT)より高く、コリンエステラーゼも高い。 空腹時血糖中性脂肪コレステロール尿酸が高い。NASHでは、線維化が進んでくると、AST(GOT)がALT(GPT)より高くなってきます。勿論、アルコールと関係の無い肝障害であること、また、他の慢性肝疾患が否定できることが必要条件となります。

NAFLD・NASHの診断基準のふるい分け

肝細胞に中性脂肪が過剰に蓄積した状態の肝障害を脂肪性肝疾患(FLD)と総称しています。 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)=飲酒量がエタノール換算で20g以下/日の者でアルコール性肝障害に類似した肝病変の事をいい、NAFLDには単純性脂肪肝(タイプ1)、単純性脂肪肝+肝炎1(タイプ2))、タイプ2+肝細胞風船様編成
(タイプ3)、タイプ3+線維化and/orマロりー体形成のある典型的なNASH(タイプ4)があります。非アルコール性脂肪肝炎(NASH)=肝細胞変性・壊死と炎症や線維化を伴い予後不良であり、NASHの確定診断は肝臓の組織診断(肝生検)でのみ可能で、中心静脈周囲肝細胞を中心に1/3以上の肝細胞に脂肪沈着があれば脂肪肝と診断し、それに肝細胞の風船様腫大、炎症性細胞浸潤、肝細胞周囲線維化などが見られるとNASHと診断し、ときにマロリー体も見られます。脂肪肝があるかどうかは腹部超音波検査で診断できますが、単純性脂肪肝かNASHかの鑑別はできません。NASHは進行すると肝細胞への脂肪沈着がなくなるので、腹部超音波検査で進行したNASHのスクリーニングは不可能になります。血液生化学検査で、単純性脂肪肝かNASHかの鑑別はある程度可能です。NASHの多くは線維化を伴い、炎症や肝細胞変性・壊死も存在するので単純性脂肪肝に比べ炎症を反映する血清トランスアミナーゼ(ALT値)がより高値で、線維増生のために血小板低下や線維化マーカー(ヒアルロン酸やⅣ型コラーゲン)高値例が多く、インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IR(空腹時血糖 x 血中インスリン値/405)高値、鉄蓄積の指標である血清フェリチン高値例が多くみられる。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の確定診断

1) 非飲酒者である:エタノール換算で1日20g以下
(ビールなら大瓶1本,日本酒なら1合まで)
2) 肝組織所見が脂肪肝炎(図2)
 (1) 大滴性の脂肪沈着
 (2) 炎症細胞浸潤,
 (3) 肝細胞の風船様腫大
3) 他の原因による肝疾患の除外
ウイルス性肝炎,自己免疫性肝炎などの除外が必要です

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の組織検査による確定診断

組織の解説 脂肪沈着
(白く抜けた部分)
と炎症細胞浸潤
肝細胞が風船様に
腫大する
細胞周囲の線維化
(青く染まっている部分)
線維化の進行した状態
(肝硬変に近い)
組織画像