糖尿病の合併症の中でも、大変危険なものの一つが、この脳梗塞です。

糖尿病性脳血管障害の病態・症状・治療

糖尿病の合併症の中でも、大変危険なものの一つが、この脳梗塞(のうこうそく)です。多くの場合、突然何の前ぶれもなく起き、重大な後遺症を起こすからです。最悪の場合、そのまま死に至ることも珍しくありません。脳梗塞(のうこうそく)という病気を最近よく聞くようになったなぁと、思われる方も多いと思います。有名な芸能人の方やスポーツ選手も、この病気にかかっているので、ニュースや週刊誌などでもよく取り上げられていますね。あの元気で明るく、いつもわたしたちに勇気を与えてくれていた、長嶋茂雄さんも、脳梗塞で倒れ現在では右半身にマヒが残っているとのことです。


糖尿病性脳血管障害の種類

糖尿病による脳血栓

 脳血栓とは、脳の血管が動脈硬化などによって細くなって、それ以上先に血液が流れなくなり、血がそこに溜まってしまい血栓(血の塊)ができてしまう場合のことを言います。また、脳の血管が傷つきそれを修復した際にできた血栓が、同じく血液を通せんぼして、それ以上先に血液が流れなくなることをいいます。要するに、脳の血管の中で血栓ができてしまい、血液が流れなくなった状態のことをいいます。

糖尿病による脳塞栓

 脳塞栓は、脳の血管の中で血栓ができてしまったのではなく、他の部位の血管でできた血栓が、血液の流れに乗って脳部分の血管に流れてきたしまった状態をいいます。どこの部位でも、血管は末端に行くほど狭く細くなってきますから、流れていった血栓(血の塊)はいずれどこかで止まってしまう可能性が強いと言えます。その止まってしまう場所が脳の血管だと脳塞栓と言います。

糖尿病性脳血管障害が起こると

脳血栓、脳塞栓により、一過性であれば、一過性脳虚血発作(TIA)と診断され脳へのダメージはなく障害が残る事はありません。しかし、一過性ではない脳虚血が起こると、脳梗塞が引き起こされ、脳へのダメージは大きく、障害が残る事があります。脳梗塞を起こす場所によって命にかかわります。

脳梗塞とは

家族・知人が脳梗塞でなくなったという方もいると思いますが、脳梗塞の症状を感じた場合には早めに病院へいき相談してみるようにしましょう。検査を受けることによって症状がわかる場合もありますので適切な処置を受けることによって、脳梗塞での危険をしのぐことが可能となっています。脳塞栓のきっかけとなる血栓はほぼ心臓でできることがほとんどといわれています。その心臓でできた血栓が動脈を通って脳に流れ込み、脳塞栓を引き起こすことを心原性脳梗塞といわれているのです。

脳梗塞の前兆

・脱力:左右の半身の力が抜けます。これによって,箸やペン等を落とすことがあります。
・しびれ:手足が突然しびれたようになります。
・視野異常:片側の視力がなくなったり,視野の一部が消えたりします。
・言語障害:急にろれつが回らなくなったり,言葉が出てこなくなったりします。
・めまい:フラフラしたり,グルグルしたりといっためまいが起こります。

脳梗塞の後遺症と治療について

脳梗塞により、脳へ血液が5分間途絶えると脳細胞は壊死してしまうため、その脳細胞が担っていた機能も失われてしまいます。脳梗塞は、障害をうけた脳の部位によって、症状がことなります。たとえば、左脳に脳梗塞がおこると、右側の顔、手足などに運動障害や感覚麻痺をひきおこします。また、側頭葉に障害がでると、失語症がでやすくなります。このように、あらわれる症状は、障害を受けた部分によって異なります。病院に運ばれてきた脳梗塞患者には、まず気道を確保して、呼吸を管理するようになっています。口のなかや気道内の分泌物を吸引する、酸素吸入、期間内に管を挿入して酸素を送り込む気道内挿管などが行われます。その後、脳梗塞の発作が起こったときの状況や病歴を調べ、検査を行います。

 脳梗塞は、発症からの経過時間によって治療の効果が異なります。発症から2週間以内を急性期、1か月以降を慢性期としてとらえます。できる限り、2週間以内の急性期の間にしっかりと治療することが、発症後のQOLを高めるうえで重要となります。脳梗塞は、たとえ2週間以内であっても、5分以内に治療しなければ、脳梗塞(脳細胞の壊死)は起こります。治すという概念ではなく、脳の機能を維持して行くことが大切なこととなります。現在では、たとえ、脳梗塞により機能を失ったとしても、他の脳組織でその失われた機能を補う働きもあります。リハビリはその失われた脳の機能を他の脳組織で補おうとする働きを促す意味もあります。