アルベカシンは、腎機能低下者での副作用発現に注意。

アルベカシン-病院で行う血液検査

アルベカシンの基準値

生化学血液検査項目 基準値(参考値)
生化学血液検査名称 略称 数値 単位
  arbekacin 有効治療濃度 Peak 9~20
副作用発現域 Trough 2 以上
μg/ml

アルベカシン検査の目的

アルベカシンは、メチシリン・セフェム耐性の黄色ブドウ球菌に有効なアミノグルコシド系抗生物質。腎機能低下者での副作用発現に注意。

 

アルベカシン血液検査 薬剤の作用

アルベカシンはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対して抗菌力が強く、アミノグリコシド系で最も強力な抗生剤である。本剤は細菌のタンパク合成を阻害することにより抗菌力を発揮し、その作用は殺菌的である。また、MRSAが作り出す不活性酵素にも安定で、耐性を獲得しにくいといわれる。代謝は肝による処理を受けず、腎依存型である。腎機能低下者では血中濃度の半減期が延長するため、高い血中濃度が長時間維持され、第Ⅷ脳神経障害や腎障害が出現することがある。さらにPeak時12μg/mL以上、Trough時2μg/mL以上が繰り返されるとこれらの障害発生の危険性が大きくなるといわれている。このため腎機能をよく把握し、適宣血中濃度のモニタリングを行いながら投与することが必要である。ちなみにCcrが100mL/minの患者で24時間の尿中排泄率は90.3%であり、50mL/min未満の患者は56.9%であった。消化管から吸収されないため、剤型は注射液のみであり、筋注または点滴静注により投与される。健康成人に75mgないしは100mgを筋注した場合のTmaxは1.5時間であった。

 

アルベカシン血液検査 薬剤の副作用

アルベカシンの副作用は、 第Ⅷ脳神経障害(めまい、耳鳴、聴力低下)、ショック、けいれん、腎機能障害、肝臓・胆管系障害、発疹、薬疹

 

アルベカシン血液検査 禁忌

アルベカシンの禁忌は、本剤ならびに他のアミノグリコシド系抗生物質、およびパシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者には通常投与を行わない。

 

その他の血球検査項目

血清血液検査項目 備  考
メトトレキサート メトトレキサート血液検査は、白血病、絨毛性疾患の治療に使われる葉酸代謝拮抗剤。著明な骨髄抑制と腎毒性があり血中濃度測定が重要。
ジゴキシン ジゴキシン血液検査は、代表的なジギタリス性強心配糖体。とくに腎機能が低下した患者で至適投与量を知るために血中濃度を測定。
シクロスポリン シクロスポリンは、免疫抑制剤。臓器移植や自己免疫疾患に用いられる。経口投与時の血中濃度推移には個人差が大きいため、濃度測定を行う。
タクロリムス タクロリムスは、FK506とも呼ばれる免疫抑制剤。シクロスポリンより選択的にT細胞の活性化を抑える。主に肝・腎・骨髄の移植時で拒絶反応の抑制に有効。
バンコマイシン バイコマイシンは、MRSAに有効なグリコペプチド系抗生物質。腎機能障害患者で排泄率が低下するため血中濃度測定が有用。
アミカシン アミカシンの血液検査は、ゲンタマイシン耐性緑膿菌等に効く抗生剤。血中濃度測定で腎毒性、聴神経障害を予防。
トブラマイシン トプラマイシンは、緑膿菌、変形菌などに有効なアミノグリコシド系抗生物質。腎障害をきたすおそれがあり、血中濃度測定は有用。
アルベカシン アルベカシンは、メチシリン・セフェム耐性の黄色ブドウ球菌に有効なアミノグルコシド系抗生物質。腎機能低下者での副作用発現に注意。